「悩みなどをお話ししてくださる方に向けて作ると、詩が深まって心の奥に届き、その歌がまたすてきな出会いを生んでいきました。でも長い年月の間には苦い体験もあり、デビューさせる、とだまされたこともあるんですよ」

 アルバムの一曲、「お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~」は、4月3日からNHK「みんなのうた」(4~5月)で流れる。

「おかえり、で始まる母の目線で書いた曲です。野菜を切ったり鍋で煮たり、台所を想起させる音も録音しました。私は自分がこの世からいなくなっても作品を残したい。教科書に載る曲を作りたい。その夢に一歩、近づけました」

 レコード会社や所属するサンミュージックが半崎に懸ける思いも深いようだ。事務所関係者は言う。

「彼女の声に皆が期待している。うちもサンミュージックといいながら近年はミュージック部門が忘れられたような状態ですが、いいタイミングで“人の心を引く力”のある歌の担い手と出会えた。創業者(故・相沢秀禎)がとにかく歌が好きだったので、その意志を継ぎ、スタッフも一致団結して応援する構えです」

 春の空に響く歌声が、待ち遠しい。

週刊朝日  2017年4月7日号