「加計学園の加計孝太郎理事長は、安倍首相が自ら『腹心の友』と言うほどでしょう。田舎町への傲慢(ごうまん)さを感じますね」
こう話すのは、千葉県銚子市の笠原幸子市議だ。
加計学園とは岡山県の学校法人で、傘下に多数の学校を抱える一大グループ。加計理事長は安倍晋三首相と40年来の親友だ。本誌3月17日号が報じたとおり、安倍首相が推し進める国家戦略特区制度で、愛媛県今治市に傘下の岡山理科大の獣医学部を新設。公有地36億円相当が無償譲渡された。また昭恵夫人が系列認可外保育施設の名誉園長を務めるなど「第2の森友学園問題」とも指摘される。
そんな加計学園が今、銚子市で論争の的だ。
4月23日の市長選に返り咲きを期して立候補を表明した野平匡邦氏は、公約として加計学園が地元で運営する千葉科学大に、国家戦略特区制度を利用して水産・獣医学部を新設することを掲げているのだ。今治市と同じ構図である。
野平氏は自治省を経て岡山県副知事を務め、02年には岡山理科大客員教授に就任。同年7月の銚子市長選で千葉科学大の地元誘致を訴えて初当選を果たし、同校は04年春に開校した。
だが、実はこのときの“補助金トラブル”が、今も尾を引いているのだ。
大学誘致は市が加計学園に92億円もの補助金を提供し、市有地9.8ヘクタールを無償貸与することで実現した。ところが、補助金の大部分が市の「借金」だったことなどから市民から批判が噴出。開校前の03年春に銚子市の市議会議員らが岡山県の加計学園本部を訪れ、補助金減額を直談判した。前出の笠原市議がこう話す。
「当時、開校にどれくらいカネがかかるのか明確な話がなかった。いくらか建築や開発の資料があり、そこから150億円だという建設費があまりに高いので本当かと直談判に及んだ」
結局、加計学園が補助金14億6千万円を返還することで市と合意。市側はさらに約8億円の辞退を要請し、加計学園が市民に貢献できる施設を建設することに協力することになった。
だが、「今もって加計学園の『還元』は実現していない」と加瀬庫蔵市議らは主張。銚子市役所幹部もこう説明する。