志願者数は前年比98.6%と3年連続で減った。09年以降、景気悪化や入学定員増などで医学部人気は過熱気味だった。近年の雇用環境改善や、医学部が難しくなったことで、やや一服しているようだ。

 駿台予備学校市谷校舎長の竹内昇さんによると、国公立大の出願に影響するポイントは三つある。センター試験の得点、前年の志願者数、試験科目や2段階選抜など入試制度の変更だ。

 今年は大学入試センター試験の国語の平均点が前年より22点低かった。

「国語で思ったように点をとれず、国語の配点ウェートが低い大学に出願した受験生も多いようです。前年の志願者が多かった大学を敬遠して、少なかった大学に出願する、隔年現象もみられました」(竹内さん)

 志願者が前年比約7割増えた奈良県立医大前期。センターの配点は、英語と数学が各200点、理科300点に対し、国語は100点だった。

 前年比約2割増の新潟大前期も、センターの英数理が各200点に対し、国語は100点と配点が低い。

 前年比約5割増の徳島大は隔年現象が顕著だ。12年度以降の志願者数は、346→550→260→588→174→264と増減を繰り返している。

「徳島大のように個別試験が英数だけの大学は変動しやすい。本大の増加や島根大と鹿児島大の減少も、隔年現象です」(竹内さん)

 奈良県立医大は後期も前年比約7割増だった。竹内さんは「国語の配点の低さや隔年現象に加え、今年は大阪大後期廃止の影響も大きいと思います」と話す。

 試験科目や配点の変更、2段階選抜導入などにも注目したい。例えば、英数などの教科と同様に、面接を点数化して配点にあらかじめ組み入れる動きがある。河合塾の横井さんはこう指摘する。

「弘前大前期は新たに2段階選抜を導入したうえ、英数理各300点だった配点を、英・数・面接各300点に変更しました。これが敬遠されたようで、志願者が前年より470人減りました。宮崎大後期は昨年は英語、総合問題、面接でしたが、英語、化学、面接に変更して、約6割も増えました」

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