LCCの国際便は都心からアクセスしやすい羽田空港にも乗り入れしている。ピーチ、春秋航空、香港エクスプレス航空、タイガーエア台湾、エアアジアXなどが利用でき、国内線からの乗り継ぎも便利だ。

 前出のピーチの担当者らによれば、LCC国際線で特に人気が高いのは台湾便で、便数も多い。20代、30代の女性が土日を利用し、食やショッピングを楽しむために旅行する需要もあるという。香港、中国便も増えており、往復2万円程度で、週末の海外旅行が可能になっている。

 記者は12月に週末を利用して、LCCの羽田─上海便に乗った。少しでも安くなるチケットをネットで探し、行きは春秋航空の深夜2時羽田発(7670円)、帰りはピーチの深夜1時25分上海発(現地通貨決済で約9千円)をチョイス。搭乗時間3時間程度なら、LCCの特徴である狭い座席も問題なし。早朝から深夜まで丸々1日、現地滞在を楽しめた。

 LCCを活用してたびたび海外渡航する、旅行作家の下川裕治さんは、

「LCCの本当のおもしろさを味わうなら、アジアに出てからです」

 と話す。アジアは日本よりLCCが発展している国が多く、便利だという。

「航空機の短距離移動は基本的にLCCが主流になっている。特にタイはLCCが多い。東南アジアでは各都市を結ぶ航空券が安く、移動時間1時間で3千円という感覚だ。LCCの差別化も進んでおり、荷物の重量制限を廃止したり、オプション費を払わずに食事が出たりするところもある。日本もいずれそういう形になるのではないか」

 成田空港に先行して12年にLCC専用ターミナルを設置した関西空港は今月28日、新たな専用ターミナルを開設。中部空港でも19年にオープン予定だ。ますます便利になるLCC。賢く使って、空の旅を楽しんでみてはどうだろう。

週刊朝日 2017年1月20日号