17年1月、米国大統領にドナルド・トランプ氏就任 (c)朝日新聞社
17年1月、米国大統領にドナルド・トランプ氏就任 (c)朝日新聞社

 1月にいよいよ始動するトランプ政権。それに象徴されるように、2017年も想定外の出来事が起こる予感がしてならない。2017年を大予測した。

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「春以降、日経平均は2万1千円台の可能性もある」

 経済アナリストの豊島逸夫氏は2017年の株価を大胆予想する。ただ、アベノミクスの成果でもなければ、日本企業の価値が実体として急に上がったわけでもない。1月下旬に誕生するトランプ政権の影響で、いわば「もらっちゃった円安」のおかげなのだ。

「何もしないのが一番いい状況です。実際にアベノミクスも何もしていませんから。いまアベノミクス劇場は物語はなく、主人公だけが舞台上で突っ立っている状況じゃないでしょうか」

 と豊島氏は皮肉る。その舞台裏を説明しよう。

 まず、トランプ氏の政策は今後どうなるのか。

「今はサンキューツアー(お礼回り)でオハイオ州などを回って演説しています。相変わらず低所得者層の白人の聴衆に『雇用は守る!』と連呼し、史上最高値の株高も『私の手柄!』だと。雇用を最重要に考えた政策になる可能性が高いでしょう」(豊島氏)

 ドル高は、米国の輸出産業には逆風だ。だが新政策への期待感と、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げに踏み切ったことで、それを目当てに世界からマネーが集まってくる。公共投資などで資金が必要な米国には好都合。次期財務長官もドル高容認姿勢を示し、中長期的な円安に向かう。

 円安となれば、日経平均株価は輸出産業主導なので高値をつける。さらに、豊島氏によると、これまで日本を素通りした米国の“大鯨”が日本株を熱心に見つめ始めた、というのだ。大鯨とはカルパース(カリフォルニア州公務員退職年金基金)などの良質なマネー。中長期の円安・日本株高の期待感、政権の安定感から、春から買い続ける姿勢だという。そこで冒頭の日経平均が2万1千円台も現実味を帯びるのだ。

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