2016年の東京マラソン。ブームの高まりで年々参加希望者が増えている (c)朝日新聞社
2016年の東京マラソン。ブームの高まりで年々参加希望者が増えている (c)朝日新聞社

 女性ランナーが増え、最近はカラフルでおしゃれなウェアも増えた。ランニングタイツ(スパッツ)の愛用者も増えている。膝の関節などを保護し、疲労軽減効果もあると言われている。果たして、実際の効果はどうなのだろうか。

「ランニングタイツがよいのは、ジョギング程度の運動まで。大きな動きが必要なランニングだと、下半身を過度に締めつけるタイツは逆効果です。体にギプスを着けて走るようなもの。タイツの愛用者は一度でいいから、脱いで走ってみてください。足がスムーズに動くことを実感できるはずです」(アスレチックトレーナーで、『やってはいけないランニング』の著書がある鈴木清和さん)

 ランニングを楽しむのにファッションは重要な要素であることは間違いない。ただ、走ることの妨げになっては本末転倒だ。

 ランニングに慣れたら、大会に参加する機会も出てくるだろう。冬場は、全国各地でマラソン大会が目白押しだ。5キロや10キロなど、初心者にうってつけの大会も目立つ。

「大会前は炭水化物をたくさんとれ」

 こう聞いたことはないだろうか。ランニングのエネルギー源となるグリコーゲンを、体内に蓄えるためだという。大会前日にパスタなどを大量に食べる「カーボ・ローディング」を仲間と楽しむランナーもいるが……。

「大会直前にわざわざ食事のバランスを崩して炭水化物をたくさんとっても、グリコーゲンを蓄積する効果は限定的。むしろ、体重が増えて、逆効果にさえなりかねません」(大阪体育大学名誉教授の豊岡示朗さん)

 最も避けなければならないのは、レース前のお酒だ。

「地方で開催されるマラソン大会に参加すると、旅行気分になってお酒を飲みたくなってしまう。しかし、アルコールを分解する際に肝臓は水を必要とし、時間もかかります。前夜に飲酒して大会に出るのは、脱水症状を自ら引き起こす準備をしているようなもの。せめて前々夜から禁酒して、体調管理に努めましょう」(鈴木さん)

 お酒は、大会が終わってからのごほうびにしよう。

週刊朝日  2016年12月23日号