寺島しのぶ「最近は、“攻め”よりも“受け”」派になった? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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寺島しのぶ「最近は、“攻め”よりも“受け”」派になった?

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寺島しのぶ/1972年生まれ。京都府出身。父は七代目尾上菊五郎、母は俳優の富司純子。2010年「キャタピラー」でベルリン国際映画祭銀熊賞受賞。11月3日公開の「ぼくのおじさん」にも出演。公開待機作に「母 小林多喜二の母の物語」(撮影/写真部・加藤夏子、ヘアメイク/片桐直樹[EFFECTOR]、スタイリスト/中井綾子[crepe]、衣装協力/Dorothee Schumacher、REKISAMI、e.m.)

寺島しのぶ/1972年生まれ。京都府出身。父は七代目尾上菊五郎、母は俳優の富司純子。2010年「キャタピラー」でベルリン国際映画祭銀熊賞受賞。11月3日公開の「ぼくのおじさん」にも出演。公開待機作に「母 小林多喜二の母の物語」(撮影/写真部・加藤夏子、ヘアメイク/片桐直樹[EFFECTOR]、スタイリスト/中井綾子[crepe]、衣装協力/Dorothee Schumacher、REKISAMI、e.m.)

「これ、怖いなぁ」と思うものをやり続けたいのだという。

 ある日、詩人で映画監督の福間健二さんから、「ぜひこの作品に出てほしい」と連絡があった。突然だった。自身の詩集を下敷きにした、「秋の理由」には、精神的な不調から声が出なくなった小説家が登場する。寺島しのぶさんに託されたのは、その妻の役。台本を読んだ時点では、なぜ自分なのか、理由がわからなかった。

「直接お会いして、作品に対するお話を伺ってから、お受けできるかどうかを決めようと思いました。でも、監督の人生やら何やら、いろんなことを伺っているうちに、別れるときには、『さようなら』の代わりに、『よろしくお願いします』と言ってしまっている自分がいたんです(笑)」

 声が出なくなった小説家・村岡を演じたのは、かつて“ピンク映画の四天王”と呼ばれた佐野和宏さん。5年前に病に倒れ、声帯を失った。今年、「バット・オンリー・ラヴ」を、18年ぶりに監督、脚本、主演作として発表している。

「ピンク映画の四天王なんて絶滅危惧種のような存在の方と、夫婦役が演じられるなんて、めったにないチャンスだと思いました(笑)。これは、“人生の秋”を描いた、物悲しい、大人の映画です。こういう余白の多い映画って、日本には少ないけれど、私は元々わかりやすいものにはあまり興味がないみたい。とはいえ、この映画でご一緒した男性陣は、監督にしても佐野さんにしても、みなさん生命力が漲(みなぎ)っていて、明るくて、面白い方ばかりでしたけど」

 日本を代表する女優のひとりながら、自分の意思でインディペンデント映画に出演してしまう。そんな軽やかさもまた寺島さんの魅力である。

「福間監督は、すごくキャパシティーの広い方で、私の芝居に対しても、“これもあり”“あれもあり”って感じで、そこで生まれるものを、楽しんでくださっていましたね」

 2人の男性の間で揺れ動く──。映画では、繊細に震える心のヒダを丁寧に表現しながら、一方で今年の夏には、松尾スズキさんの舞台に出演し、阿部サダヲさん演じるベストセラー作家の妻を、奔放かつ大胆に演じた。偶然にも、どちらも作家の妻役で、2人の男性の間で揺れ動くという設定も近い。が、それぞれのキャラクターは、同一人物が演じたとは思えないほど別物だ。

「最近は、“攻め”よりも“受け“の芝居のほうが、楽しいと思えるようになってきました。相手から出てくるものを瞬時に受けて、投げ返す。卓球で言うところの“カットマン”ですね(笑)。そんな芝居が理想かもしれない。阿部さんなんて、まさに“それ”でしたから。『秋の理由』にしても、松尾さんの舞台にしても、自分が新鮮でいられる場所を選んでいるのかもしれない。いくつになっても、自分がドキドキする場所にいられることが幸福だと思います」

週刊朝日 2016年11月4日号


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