東電も火災前から対策に乗り出しており、22年度までにOFケーブルの接続点約2200カ所に防火シートを巻く計画が進んでいた。約1500カ所まで終えていたというが、火災があった地下トンネル内では、ケーブル18本のうち15本に防火シートが巻かれていなかったという。

 経済産業省は電力各社に早期の点検報告を指示した。東電に安全対策について聞くと、

「OFケーブルの防火対策工事を早めるかどうかを現在検討しているが、経験やノウハウなど含めた『工事力』が間に合っていない」

 と答えた。

 放電・絶縁・電気設備の劣化診断などが専門の日本工業大学の西村誠介教授は、こう指摘する。

「日本のモノづくりが空洞化している現状があり、OFケーブルの油の扱い、メンテナンスにたけた熟練工が減っている。企業はメンテナンスにかけるコストを抑える傾向があり、契約社員をその都度集める形が増えて技術の継承やノウハウの蓄積ができていない」

 今回の火災は国内インフラ整備の構造的な問題点も浮き彫りにしたようだ。(本誌・亀井洋志、大塚淳史、吉﨑洋夫、秦 正理/今西憲之)

週刊朝日  2016年11月4日号