津田大介「権力腐敗をハッカーに暴かれる時代」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

津田大介「権力腐敗をハッカーに暴かれる時代」

連載「ウェブの見方 紙の味方」

このエントリーをはてなブックマークに追加
週刊朝日#津田大介
トルコで大規模なネット規制がかかる不穏な事態が進行している…(※イメージ)

トルコで大規模なネット規制がかかる不穏な事態が進行している…(※イメージ)

 ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏は、トルコの権力腐敗を例に出し、ネット時代におけるハッカーの意義を解説する。

*  *  *
 トルコで大規模なネット規制がかかる不穏な事態が進行している。

 発端となったのは、アルバイラク・エネルギー天然資源大臣の機密情報がハッカーグループ「レッドハック」によってハッキングされたことだった。盗まれたファイルは全部で20GBにも及び、その中には2000年4月から今年9月までの5万7623通の電子メールが含まれていた。

 メールの詳細をチェックした結果、アルバイラク大臣が国内の新聞やテレビなどの報道に圧力をかけ、報道内容を操作するやり取りが見つかったのだ。

 なぜ一閣僚に過ぎない大臣が、報道に圧力をかけられるほどの力を持っているのか。実は同氏はエルドアン大統領の娘婿で、傘下にテレビ局や新聞社、出版社などを抱える総合メディア企業トゥルクヴァズ・メディアグループのセルハト・アルバイラクCEOの弟でもあるのだ。いわば権力とメディアを接続するキーパーソン。今年に入ってからトルコ政府は同国で最大の発行部数を誇る「ザマン」紙を政府の管理下に置き、政府に批判的なメディアの幹部を逮捕するなど、報道への圧力を強めている。そんな中、メールのやり取りという客観的な証拠で圧力の実態が示されたことは、大きな意味があるだろう。

 しかし流出事件に対するトルコ政府の対応は素早かった。トルコ国内からDropboxやグーグルドライブ、Oneドライブ、GitHubといった主要なクラウド型ファイル保存サービスにアクセスすることを遮断したのだ。そもそも20GBもの大容量ファイルを、ネット上でやり取りできるサービスは限られている。そのため、こうした強引なやり方で流出した情報が広まることを防いだのだろう。


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい