「まずは、白米に雑穀や古代米、玄米などをまぜることで、タンパク質をはじめビタミンやミネラルなど多くの栄養素を摂ることができます。ヨモギやハト麦などの野草や、クリや松の実などの木の実も栄養価が高くお薦めです」

 そこで普段の食事に取り入れやすい、忍者食をベースにした秘伝の献立を3日分、考案してもらった。

【1日目】朝は「アワのお粥(野草、シイタケ入り)」、昼は「豆腐」と「タンポポのごまあえ」、夜は「小豆とハト麦のお粥」と「梅干し」。

【2日目】朝は「豆腐」と「こんにゃくと芋のみそ煮」、昼は「赤米のにぎり飯」と「大根と干し柿のなます」、夜は「キビのお粥(カブ、シイタケ入り)」と「おから(野草入り)」。

【3日目】朝は「アワ」と「インゲン豆のみそ汁」、昼は「豆腐」「こんにゃくのごまあえ」「アザミとウドのきんぴら」、夜は「ヒエとハト麦のお粥」と「梅干し」。

 藤林さんによれば、忍者食をうまく取り入れると「バランス良く、健康的に痩せることができる」という。1食あたりの品数も少ないので、ぜひ普段の献立を考えるときの参考にしてみてほしい。

 一方で、“忍者モード”のときに食べていたのが、携帯食だ。厳しい環境に耐えられることを前提に考案された忍びの食べ物で、パワーフードとして重宝されていたという。

 その代表的なものが「兵糧丸(ひょうろうがん)」と「水渇丸(すいかつがん)」と呼ばれるもの。兵糧丸は砂糖をベースに5種類の生薬を加えたもので、「滋養強壮」「鎮痛」「救急医薬」「エネルギー補給」「疲労回復」「健康維持」の六つの薬事作用を持つという。水渇丸は、梅干しと砂糖をベースに「麦門冬(ばくもんどう)」という生薬を加えたもので、喉の渇きを抑えるのに役立ったそう。

「砂糖によってカロリーを補給し、漢方の生薬によって気力を回復したといわれています。忍者にとってはお守りのような、スーパーキャンディーのような位置づけですね」(前出の久松さん)

 漢方専門店などに行けば生薬も手に入る。どうしても試してみたいという人のために、比較的簡単に作れる水渇丸のレシピも用意した(下記)。ハイキングや登山のおやつの一つとして携帯してもいいだろう。

 忍者の食生活は、ぜいたくとはまた違った意味で豊かだったよう。シンプルな食生活に回帰することが長生きの秘訣なのかもしれない。

「水渇丸」の作り方
【材料】梅干しの果肉…約37g、氷砂糖…約7.5g、麦門冬(ジャノヒゲの根を原料とした生薬)…約3.7g
【作り方】(1)梅干しの果肉部分と種の部分を分ける。(2)残りの材料を、フードプロセッサーやコーヒーミルなどで粉末にする。(3)1と2を混ぜて、手でよくこねる。1cm程度に丸め、天日干しにして乾燥させる。

週刊朝日  2016年10月28日号