お墓の在り方も時代とともに移り変わる? (※写真はイメージ)
お墓の在り方も時代とともに移り変わる? (※写真はイメージ)

 不動産開発が盛んだったバブル時代から、ビジネス的な分野に積極的に乗り出す寺院が出てきた仏教界。消費者のニーズをすくいとる新たな「ビジネス」が次々と出現している。

 数ある永代供養の形の中で、急速に進化しているのがビル型納骨堂だ。

 新宿駅南口から徒歩3分。大通りから道一本隔てた路地に入ると、その建物は見えてくる。思い浮かべていた寺院とは似ても似つかぬ、白く独創的なビルこそが「新宿瑠璃光院白蓮華堂」。モダンな美術館と勘違いしそうだ。

 都心の一等地に立つ同院は浄土真宗・無量寿山光明寺が運営・管理する寺院・納骨堂で、蓮の花をイメージしたというこのビルは2014年9月に完成した。

 エントランスに入ると、新宿の騒がしさが嘘のように静まりかえっている。グレーと白を基調としたホールはホテルのロビーのよう。壁一面の窓の外には滝が流れている。しかし、お寺らしくない。住職執務室業務推進役の木下尚子氏が理由を教えてくれた。

「宗教・宗旨・宗派にとらわれずにお見えいただいていますので、仏教色を廃しています。納骨堂を買われた方には、キリスト教やヒンドゥー教、神道の方もいらっしゃいます」

 浄土真宗では使わない木魚、賛美歌を弾くピアノなども置いてあった。

 納骨堂には主にロッカー式と自動搬送式の二つのタイプがあるが、同院は後者。全3500室の納骨スペースがあり、購入した参拝者にはICカードが発行される。受付パネルにそのカードをかざすと、遺骨が納められた厨子(ずし)が地下の参拝室に自動で搬送される、立体駐車場のようなシステムだ。販売価格は100万円から。年間管理費は1万2千~5万円だ。女性専用区画には50万円からのプランもある。」

 さらに今年5月には、生前契約の場合に管理費が不要というプランも募集を開始。こちらは基本的に20年間、納骨堂で供養することを想定しており、その後は同院が営む京都府のメモリアル公園に自然葬で葬られるという。

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