9月29日に告示される新潟県知事選。柏崎刈羽原発の再稼働に「待った」をかけ、4選を目指していた泉田裕彦新潟県知事が8月末に突如、立候補撤回を表明した。急転直下、まるで小説『原発ホワイトアウト』を彷彿とさせる展開だ。知事が激白した。
──“モノ言う知事”の突然の撤退表明の経緯を教えてください。
今回、新潟日報が報じている県出資会社の子会社によるフェリー購入問題の核心は、現場レベルが騙されたものと受け止めています。それでボロ船を掴まされて、出資金がその目的を果たさなくなる可能性がある。私は最終的な責任者です。責任はあります。ただ、だいぶ前から事実に反した記事が出ており、記者会見までやって記事の訂正を求め、八つも九つも訂正要請文書を出した。窓欄(新潟日報の投稿欄)の投書の回答も書いたので載せてくれといくら頼んでも載らない。会見で抗議しても効果がない状態になっています。
今回の知事選では、森民夫・長岡市長が県庁内で立候補表明をしましたが、庁舎の管理責任がある県広報担当職員が、会見を主催する県政記者クラブの代表幹事社である新潟日報社から立ち会いを拒否され、録音も禁じられたそうです(新潟日報は否定)。県庁の中ですよ? 一方で、会見後、対立候補の表明があったとしてコメントは求めてくる。表明の中身がわからないとコメントなどできませんよね。このような環境の中、選挙戦で県民の皆さんに訴えをきちんと届けるのは難しいと判断しました。私の言葉が県民に伝わるのであれば、立候補の撤回はなかったかもしれません。
──知事は東京電力柏崎刈羽原発の再稼働について「福島原発事故の検証と総括なしに議論できない」と明言して全国的にも注目され、信任を得て3選も果たしています。撤退は突然で驚いた人も多い。
県内には柏崎刈羽原発がありますが、ヨウ素剤の配布や地震・原発事故の複合災害時の避難などで不備は明らかです。現状の原子力災害対策指針で対処できない事態がいっぱいある。この問題を会見で訴えたり、政府も今春から対処を始めたところでした。