8月5日に開幕するリオデジャネイロ・オリンピック。ゴルフの日本代表が男女共に決定した。男子の2人は先日行われた大会で予選落ちと不調なようだが、ヘッドコーチを務める丸山茂樹氏は気にしていないという。

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 ようやくリオデジャネイロ・オリンピックの日本代表が固まりました!

 7月11日付の世界ランキングで男女とも2枠に決まり、男子は日本勢トップの松山英樹(24)と2番手の谷原秀人(37)がすでに出場辞退を表明しているため、世界93位の池田勇太(30)と107位の片山晋呉(43)が出場権を獲得。女子は22位の野村敏京(23)と43位の大山志保(39)が出場権を手にしました。この4人では晋呉だけがリオ行きに関して「辞退も含めて考える」と言ってましたけど、出場を決めましたので、この4人で決まりですね。男女ともメダルのチャンスはあると思ってます。

 女子は2番手争いが激しくて、大山が世界42位、宮里美香(26)が45位、渡邉彩香(22)が46位の状況で、3人とも全米女子オープン選手権(7月7~10日、米カリフォルニア州サンマーティンのコードベール)に臨みました。「最終決戦」は大山と宮里が予選落ち。

 僕がプレーについてアドバイスしてきた彩香ちゃんは3日目を終えて20位。最終日は20位台を死守すればリオ行きが決まる状況でした。それが最終日はスコアを四つ落として、通算4オーバーの38位。大山に追いつけませんでした。最小限のミスでとどめるってことができなかったですね。

 去年の秋、彼女からアプローチについて相談されてから、一緒に練習したり、試合の映像を見てアドバイスしたりしてきました。まだミスはたくさん出るけど、バリエーションは増えましたよ。

 最初はアプローチの幅が感覚的に「1か2」ぐらいしかなかったんで、それをなんとか「5」ぐらいまで引き延ばして、なおかつ、ピッチエンドランのベーシックな打ち方をマスターできたのがよかった。

 
 ただ、ゴルフのレッスンは作られた状況にすぎないんですよね。試合でセカンドショットやサードショットを打って、グリーンを外れたトラブルの場所から寄せるには、練習以上のイマジネーションとか経験が必要になってくるんです。そこはもう、本人がマスターしていくしかない。だから僕は時間がかかると思ってるんです。最初から。アプローチに関しては、僕に言わせればほぼゼロからのスタートでしたから。

 今回の最終日18番でダブルボギーだったんですけど、パーでいいところをバーディー狙いでいって、池に入れてるんです。プレッシャーに打ちのめされたのかな? 今後、本人の口から聞いて、いろんなことを話し合っていけたらいいと思いますけどね。まだ若いし、気持ちを切り替えて女子ツアーの後半戦で頑張ればいいんですよ。2020年の東京オリンピックで金メダルを狙える選手になってほしいと思ってます。

 男子の勇太と晋呉はそろって「日本プロ選手権日清カップヌードル杯」(7月7~10日、北海道クラシックGC)に出ましたが、予選落ちでした。でも、別にオリンピックの前週の試合じゃないんで、僕は全然気にしてないですよ。連戦してれば、いいときも悪いときもありますから。オリンピックまで1カ月ありますからね。そこへ向けてバシッと調整してくれりゃいいんですよ。

週刊朝日 2016年7月29日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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