北原みのり「選挙権の行方(留置場にて)」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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北原みのり「選挙権の行方(留置場にて)」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

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留置場に入れられる直前、「投票できますか?」と確認したところ…(※イメージ)

留置場に入れられる直前、「投票できますか?」と確認したところ…(※イメージ)

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏は留置場にいる人の選挙権について、経験談をもとに綴る。

*  *  *
 2014年の冬、私が事件に巻き込まれ逮捕された時、衆議院議員選挙の投票日が11日後に控えていた。

 日本の司法制度では、一度逮捕されると最長で23日間、留置場に拘束される可能性がある。というか、その可能性はかなり高いということを弁護人に教えてもらい、言葉を失った。え、じゃ、私、投票できないの?というか、手錠かけられている時点で、お前の未来どうなるんだよ、という問題なのだけれど、とにかく私の選挙権の行方が気になったので、留置場に入れられる直前、私の持ち物検査をした職員に「投票できますか?」と確認した。そうすると、

「投票所まで連れていくけど、縄はついたまま。いいの? 目立つよ?」

 と言われた。

 人間は現実が最悪だと、ささやかな権利にうっとりするものである。その時の私は「よかった! 行きます!」と、心から安堵したのだった。思えば、あれほど投票できるのが嬉しい!と思ったことは、後にも先にもないかもしれない。

 しかし、次の日に慌てた感じで職員が私のもとにやってきた。

「確認したところ投票所に行くのは、選挙前日や当日に逮捕された容疑者のみ。あなたは期日前投票しかできない」とのこと。

 選挙などそう多くあるわけではないから、警察みたいに、厳密なルールに警察官自身が心身共に拘束されるような職場でも、こんな勘違いを職員の人がするんだなぁ、と思った。この時は、私の現住所は留置場として、期日前投票の手続きをすることになった。刑が確定していない人や、留置場にいる人たちは、そのように投票しているのだ。


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