「グローバル企業でも海外でのビジネス展開を任せられる人材は不足気味。日本企業は海外からの登用を迫られ、役員報酬の高止まりする欧米の水準に合わせる必要に迫られています」

 ランキング7位は、日立製作所の執行役常務のジョン・ドメ米州総代表。ドメ氏のように、日本人社長の報酬額を上回る外国人役員も目立つようになった。

 日立製作所は「報酬額は担っている役割や収益責任の大きさなどを踏まえて、就労する国の役員報酬の水準と構成を参考にして決定しています」と説明する。

 トヨタ自動車のディディエ・ルロワ副社長は11位で、6億9600万円。一方で、豊田章男社長は31位で、3億5100万円。こちらも、社長と副社長の報酬が逆転している。

 役員報酬に詳しいEY総研の藤島裕三主席研究員は、外国人幹部の高額報酬についてこう話す。

「肌感覚として、日本人経営者の報酬は多くて2億円程度。しかし、例えば優秀な外国人幹部を引き抜くには5億円、他のグローバル企業も欲しがるような人材なら10億円超も必要かもしれない」

 藤島氏は、高額報酬を受け取る外国人は、公表されたランキング以外にも数多くいるはずだと指摘する。

「開示が義務付けられるのは会社法上の役員だけで、従業員の位置付けである執行役員は含まれません。外国人には取締役などのポストではなく、報酬で報いようとする企業もあるのではないか」

「外国人役員は特別」「外国人幹部への報酬は投資の一部」。こうした企業側の意識は、今後さらに広がるのかもしれない。

週刊朝日  2016年7月15日号より抜粋