動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、チェコ、チェスキー・クルムロフの「望郷猫」です。

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 ドイツとオーストリアとの国境に近い、南ボヘミアの小さな町、チェスキー・クルムロフ。チェコで最も美しいとも謳われる中世の町並みの中心を流れるのは、名曲「モルダウ」で知られる、ヴルタヴァ(モルダウ)川。古城が見守る川の岸辺を、猫を探して歩いていたら、この凜々しい三毛に出会った。

 ♪ボヘミアの川よモルダウよ過ぎし日のごと今もなお──スメタナのメロディーがなんとも似合う、遠い目をした猫。もしや、祖国の複雑な歴史に思いを馳せていたのかもしれません。

岩合光昭(いわごう・みつあき)
1950年生まれ。動物写真家。NHK BSプレミアムにて「岩合光昭の世界ネコ歩き」放送中。

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週刊朝日 2016年7月8日号

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岩合光昭

岩合光昭

岩合光昭(いわごう・みつあき)/1950年生まれ。動物写真家。1980年雑誌「アサヒグラフ」での連載「海からの手紙」で第5回木村伊兵衛写真賞を受賞。1982~84年アフリカ・タンザニアのセレンゲティ国立公園に滞在。このとき撮影した写真集『おきて』が全世界でベストセラーに。1986年ライオンの親子の写真が、米「ナショナルジオグラフィック」誌の表紙に。94年、スノーモンキーの写真で、日本人として唯一、2度目の表紙を飾る。2012年NHK BSプレミアムで「岩合光昭の世界ネコ歩き」のオンエア開始。著書に『日本のねこみち』『世界のねこみち』『岩合光昭写真集 猫にまた旅』『ふるさとのねこ』『ネコを撮る』『ネコへの恋文』など多数。初監督作品となる映画「ねことじいちゃん」のBlu-rayとDVDが発売中。

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