「2年前に担いだ舛添さんがカネの問題で辞任するとなると、自公の責任も問われかねないですからね。それに、7月の参院選で自民党はただでさえ20議席減らすかもしれないといわれている。この時期に都知事選では、さらに国政にもダメージを与えてしまう」

「ブロガー都議」として情報発信する無所属の音喜多駿都議はこう語る。

「自公の中には『死に体』の舛添氏を残し、副知事ポストに息のかかった人物を選任させる思惑もあるようです。ただ世論の動向次第で、彼をかばい続けて不利益になると判断すれば、手のひらを返して舛添氏を追い込むことも考えられます」

 もう一つ、関係者が頭を悩ませる重要なポイントは、20年7月下旬に開幕する東京五輪だ。

 都知事の任期は4年。仮に舛添氏がすぐ辞職して7月に都知事選となった場合、4年後の東京五輪直前に都知事選となる。ビッグイベントを前に都政が混乱するリスクを背負い込むことになるのだ。

「条例を変えて東京五輪の年だけ任期を延ばすか、あるいは3年で再選挙をするかという話もある。現実的には8月のリオ五輪終了まで辞任せずに逃げ切るか、リオ五輪終了を待たずに辞任すると発表し、他の候補者に準備期間をあげるか。そんなところではないでしょうか」(自民党関係者)

 前出の音喜多都議もこう語る。

「私は即刻辞任すべきだと思いますが、9月議会で辞任させるのが合理的スケジュールだと言う人もいる。6月の議会は調査中ということで舛添氏がノラリクラリとかわして時間切れとなる。9月議会で調査報告を受けて百条委員会を開き、辞任に追い込むというのです」

 リオ五輪の閉会式で五輪旗を受け取る「大役」を花道に、舛添氏には勇退してもらう……こんなシナリオに都民が納得するかはともかく、すでに“落としどころ”も議論されているのだ。

週刊朝日 2016年6月10日号