放送作家でコラムニストの山田美保子氏が今注目するグッズを紹介する新連載「楽屋の流行(はや)りモノ」。今回は、緊急時に活躍する“ベージュマニキュア”について。

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 一昔前は、浜崎あゆみ、安室奈美恵、倖田來未ら、歌姫たちのものだった派手なネイルも、いまは多くの女性タレントが施す“指先の常識”である。

 さらに時代が変わったのだなぁと思うのは、テレビ局の女性アナウンサーらの爪も、画面で見て明らかに「ネイルサロンに行った」ものになっていることだ。

 かつて、在京局一オシャレだと言われていた元日本テレビの永井美奈子アナがいち早くフレンチネイル(爪先に白色をのせたネイルアートの基本的デザイン)で出演していたことに驚いたのも今は昔。

 さすがに料理番組を担当する女子アナは何も塗っていないが、ほかの人たちは、ラメやストーンを使用したり、“ネイルアート”と言うべきデザインを施したりしてニュース番組にも出演している。

 そうした女性出演者のネイルの大半は「ジェルネイル」。“ジェル”と呼ばれる液を爪に塗り、UVライトやLEDライトで固めて仕上げる。マニキュアのように剥げたりしないし、亀裂も入りにくく、約3週間はもってくれるので、忙しい出演者たちには、ひじょうに助かる代物なのだ。

 が、もちがいい分、落とすのは一苦労。専用リムーバーや爪やすりなどはあるものの、素人が慌てて剥がすと、爪に負担がかかったり、白っぽくなったりしてしまうのだ。

 
 だが、芸能人や女子アナには、華やかなネイルを急いで落とさなければいけない場面がある。たとえば通夜や葬儀に参列したり、中継を担当したりする場合。アートを施した赤やピンクの爪で行くのはマナー違反であるだけでなく、昨今は週刊誌のグラビアカメラマンの標的になり、「非常識」と見出しをつけられてしまい、結果、炎上だ。もちろん、事件や事故の現場取材に行くときなどにも華やかなネイルは絶対に御法度だ。

「そのようなときのために、マットなベージュのマニキュアを1本、バッグや化粧ポーチに入れておくと便利ですよ」と教えてくれたのはカリスマネイリストの黒崎えり子さん。ストーンは隠せないが、ラメぐらいはカバーできるし、二度塗りすれば、かなり華やかなネイルも、短時間で何も塗っていないかのように。除光液でまた元のジェルネイルに戻すことができるのも助かる。

 黒崎さんが主宰するサロン「エリコネイル」に通う女優やモデル、女性リポーターらのクチコミで広がりつつあるジェルネイルの緊急対策。一般の方も、知っておくと便利かもしれない。

週刊朝日 2016年5月20日号

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山田美保子

山田美保子

山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める

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