ママ起業家を狙う悪徳商法とは…(※イメージ)
ママ起業家を狙う悪徳商法とは…(※イメージ)

 全日本ママ起業連合会、通称ママレン。「子育てをしながらも『起業』に挑み、家計を支えられる収入を得て家族の未来を守れる女性の新しい生き方」を提唱し、起業に向けた講習やイベントの開催、情報交換などを目的に昨年11月に設立された一般社団法人だ。現在、アンバサダーという幹部スタッフ25人を中心に関東圏で幅広く活動している。ちなみに、アンバサダーになるのに30万円の支払いが必要という。

 代表はM理事だが、ママレンのスタッフたちから「会長」と呼ばれる人物が、X氏(47)である。正式な役職には就いていないが、ママレンの創設者であり、事実上のトップだ。もう一人、ママレンのナンバー2とされ、X氏の協力者となっているのが、ソニー生命保険支社営業所のY副部長だ。自称「営業成績は社内で上位1%」の営業マン。2人はここ1年ほどのうちに急速に親しくなったという。

 元ママレンスタッフの一人が、呆れ顔で言う。

「そもそもママレンを思いついたのは、Yさんなのです。専業主婦は保険加入の決定権がないが、起業している女性なら自分で決めるだろうから営業成績を上げる場になる、という発想です。Xさんも儲け話につながると直感し、起業家や予備軍が集まるママレンを組織化したわけです」

 保険商品の顧客集めとして利用しただけなら罪はない。問題は、ママレンに関係した人々が事業資金を騙(だま)し取られ、報酬が支払われないなどの金銭トラブル被害が相次いでいることだ。

 怒りと苦衷の告発をするのは、料理教室「アナザーキッチン」を主宰する料理研究家の浅倉ユキさんだ。浅倉さんがX氏から事業合併を提案されたのは2014年末のこと。アトピーケアに関する事業だということで浅倉さんは興味を持ち、同意した。

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