「覚醒剤による精神疾患は幻聴・幻覚、被害妄想による異常行動など統合失調症と症状はほぼ同じです。まだ解明されていない部分も多いが、清原被告のように長期連用していると脳の機能が明らかにダメージを受ける。1年経てば、5年経てば症状が消えるというものではない。しばらく向精神薬による治療を受けることになるでしょう」

 しかも、妻に見放され、2人の息子とも容易に会うこともできない孤独な環境は、逮捕前と変わらない。

「薬物依存症からの回復支援施設のダルクなどが行う集団療法が必要になってくるが、こうした自助グループにつながるには家族が一緒に行くなど周囲のサポートが不可欠。それがないのが心配です」(岩波教授)

 一方で、売人ルートの全容解明については捜査が難航しているという。

「清原に覚醒剤を譲渡していた小林和之被告がほとんどしゃべっていないようだ。群馬ルートは、関東を拠点とする指定暴力団の傘下団体の関与が当初から指摘されたが、捜査は詰め切れていない」(捜査関係者)

 注目の初公判は5月17日に、東京地裁で行われる。(本誌・西岡千史、牧野めぐみ、藤村かおり、亀井洋志、松岡かすみ、長倉克枝、上田耕司/菅野朋子)

週刊朝日 2016年4月1日号