「珍遊記」はギャグ映画ではあるけれど、太郎が発する「噓臭ぇ」という台詞には、メッセージがあるような気がしている。

「太郎には懸賞金がかけられていて、大勢の強者たちに勝負を挑まれる場面があるんです。超楽勝なはずの勝負でも、太郎は怒りを爆発させて、メチャクチャ汗をかきながら、自分を殺そうとする相手を自分の肉体を使って倒していく。敵のことを虫けらみたいに扱わずに、ちゃんと相手にしているんです。その、何にでも“本気”を出していく姿勢は、映画全体に貫かれている気がします。ふざけた必殺技がいっぱい出てきますけど、みんな、それを口にするときは、魂が口から飛び出すんじゃないかって思うぐらい本気でした(笑)。結局、本気が一番面白いんです」

 今年で31歳。年齢を重ねていくことの楽しみを訊くと、「10代のときは、高校受験で、『この高校に受からなかったら人生終わる』って思ったり、目の前にあることがすべてだと思い込んでいた。でもそうじゃなくて、チャレンジを続ければ、世界はどんどん広がっていく。その感じは、何かいいですよね」と答えた。

週刊朝日 2016年2月26日号