ハンドルが自動的に回る自動運転の様子 (c)朝日新聞社
ハンドルが自動的に回る自動運転の様子 (c)朝日新聞社

 アベノミクスの成長戦略にも含まれる自動運転車。安倍晋三首相は昨秋の国際会議で、2020年の東京五輪までに自動車の自動走行技術を普及させる方針を明らかにした。だが、安全性など解決しなければならない課題が山積している現実がある。ジャーナリストの桐島瞬が明らかにする。

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 自動運転車に詳しいジャーナリストの川喜田研氏が言う。

「例えば、自動走行ではカメラ、ミリ波レーダー、スキャナーなどで周辺状況を判断します。この精度に問題があるとはどこのメーカーも言いませんが、開発者に率直なところを尋ねると、現状では悪天候下で正しく道路状況を把握して自動走行するのは困難ということでした。しかし、1トンを超える鉄の塊が動くことを考えると、判断ミスがあってはいけないのは当然。果たして、あと5年で信頼性の高い技術が確立されるのか疑問です」

 実際、自動運転車に試乗した人に取材すると、こんな不安を漏らした。

「首都高を走行中、急に割り込むように車線変更をし、危ないと思った」

 自動運転車の開発段階はレベル1からレベル4まであり、ドライバーが不要になるレベル4の実現は20年代後半以降と言われる。

 それでも20年をメドに、日産はハンドル操作をせずに一般道の交差点を走行できる技術を実用化。トヨタやホンダは、同じころに高速道路を自動走行できるクルマを発売する計画。

 つまり、それまでにあらゆる天候や道路状況に即して適切な判断ができる技術が搭載されないと、名ばかりの自動運転車にもなりかねないわけだ。

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