妻が退職金持ち逃げ…おひとりさま老後の悲しい現実 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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妻が退職金持ち逃げ…おひとりさま老後の悲しい現実

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妻が退職金持ち逃げ…(※イメージ)

妻が退職金持ち逃げ…(※イメージ)

「なんで、なんで俺を置いていったんだー」

 高齢の男性がひとり佇(たたず)み、手を伸ばして絞り出すような声で叫ぶ。顔にポツポツと髭を描き、袴姿に学帽という奇抜な姿で……。

 シニア専門のアマチュア劇団「かんじゅく座」が、11月に東京都新宿区の新栄保育園で行った演劇「ねこら!」の1シーンだ。宿敵同士の野良猫とドブネズミが罠を仕掛け合い、やがて“和解”していく――。迫真の演技を見せた男性は有賀等さん(仮名・72歳)で、飼い主が亡くなり、取り残された学生猫の心情を演じた。劇がはねると、有賀さんは観客の園児たちと握手をして、こうつぶやいた。

「芝居は生きがいだよ」

 有賀さんは60歳で定年後、娘に勧められてシニアの俳優養成所に入り、その後66歳でかんじゅく座に入団した。

「63歳のときにお袋が死んだのですが、介護のために定年の数年前から女房と別居しました。女房とお袋の反りが合わなくてね」

 有賀さんが家を出て母と団地で暮らしたが、母が亡き後はまた妻と住みたいと思い、そんな話を妻に持ちかけていた。だが目論見は見事に外れた。

「介護職をしていた娘が北欧に勉強に行くと言ってね。女房もついていくという。すぐ帰ると思ったらそのまま帰らないんだ」

 有賀さんは飛行機が苦手で乗ることができない。親戚に現地まで行ってもらうと、娘だけでなく妻まで仕事を探して楽しく暮らしていた。ふたりからはまったく連絡がない。まさに冒頭の台詞のとおり、「置いていかれた」のだ。


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