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認知症治療に「料理教室」 女性との会話も脳に刺激か?

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金さん(左)からは「腕を上げた」と言われたのだが…(写真:本人提供)

金さん(左)からは「腕を上げた」と言われたのだが…(写真:本人提供)

 認知症予備軍の軽度認知障害(MCI)や軽度の認知症患者を対象にオリーブクリニックお茶の水のデイケアで行われている料理プログラム。このプログラムに参加している認知症早期治療実体験ルポ「ボケてたまるか!」の筆者・山本朋史記者は、調理中は気持ちが落ち着くという。

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 オリーブクリニックで毎月1回開かれる料理のプログラムには必ず参加する。段取りが重視される料理は認知症早期治療に有効だとクリニックを束ねる朝田隆医師から聞いていたからだ。指導するのは韓国料理が専門の金美善先生。筑波大学附属病院でも教えていただいたので、1年半余りのお付き合いだ。

 プログラム参加以前には台所に立ち、包丁を握るなんてことは一度もなかった。そんなぼくが料理を好きになった。自宅でキャベツを千切りにしたり、トマトを賽の目に。野菜をサクサク刻んでいると気持ちが落ち着くような気がしてくる。不思議な感覚だ。金さんに教わった韓国料理を再現して何品か並べる。食卓が豪華になる。

 7月中旬に習ったのは、豆腐を使った煮付けだった。炊飯器でご飯が炊き上がるまでの間に作れる料理、が金さんのうたい文句だ。レシピを渡されて驚いたのはナスの料理だ。タレが書かれているのに、ナスの調理法がない。理由がわかった。まず炊飯器で黒豆を入れたご飯を炊く用意をしたら、そのまま上に6本のナスを縦半分に切って放り込む。ご飯が炊き上がったときには、ふかしナスが一緒にできあがっているというわけだ。

 料理プログラムのときは男性の参加が少ない。この日、ぼくは女性ばかりのグループに組み込まれた。女性4人の年齢はぼくより上。いずれも上品な淑女の面もち。まな板に置いた豆腐をレシピどおりに5センチ×3センチ×1.5センチの大きさに切っていると、

「あなた、お上手。いつもなさっているの」

 切った豆腐に片栗粉をまぶしながら、

「最近はよくやります。土日とか」

 とぼくが答えると、とびきり優しそうな女性が、

「今日は山本シェフにやってもらいましょう」


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