ライバル陣営への「探り」や「圧力」にも余念がなかった。3月中旬、菅義偉官房長官が官邸近くの日本料理店に野田氏を呼び出し、会食した。本気で総裁選に出るつもりなのか、支持する議員は誰なのか。“事情聴取”したと見られている。

 8月5日には東京・お台場のホテルで、事実上の石破派である「無派閥連絡会」の勉強会があった。約30人の議員が出席したが、後日、数人に「なぜ出たのか。石破を支持するのか」といった電話が、官邸関係者からかかってきたという。

「ほんの30分だけ顔を出した議員にも“圧力”があったそうです。前回の総裁選で石破氏を支持した小泉進次郎内閣政務官が、女性とホテルで密会した写真が週刊文春に載りましたが、『石破・小泉連合を潰すために、官邸がリークしたんじゃないか』なんて噂が流れています」(石破派の中堅議員)

 ことの真偽は定かではないが、そんな噂が出るほど、官邸は無投票再選に躍起だった。安倍首相の新たな総裁任期は3年で、2018年9月まで。再選後は、宿願の憲法改正などに本腰を入れて取り組んでいく。

週刊朝日 2015年9月4日号より抜粋