盗用疑惑を全面否定した佐野氏=8月5日、東京都港区 (c)朝日新聞社 @@写禁
盗用疑惑を全面否定した佐野氏=8月5日、東京都港区 (c)朝日新聞社 @@写禁

 7月下旬の華々しい発表会見から一転、ベルギーのリエージュ劇場のロゴマークに似ているとされる五輪エンブレム問題。渦中にある佐野研二郎氏(43)は大会組織委員会での会見で、

「(盗作の指摘は)事実無根。世界に類のないエンブレムだと確信している」

 と自らの潔白を訴えた。疲労感をにじませ、眉間にシワを寄せた険しい表情は、

「このデザインで、みんなの気持ちを束ねたい」

 と、破顔でガッツポーズを見せた、お披露目会見時とはまるで別人だった。

 それは、今回の盗用疑惑を否定するだけでは収まらない事態に追い込まれているせいもあっただろう。

 リエージュ劇場のロゴと似ているという指摘があってから、騒動はネット上で拡散する一方だ。

 サントリーのノンアルコールビールのキャンペーンの景品として発表された、佐野氏デザインのトートバッグが、既存のデザインに酷似していると“炎上”。別のデザイナーの作品をコピーしたり、個人のブログの掲載写真を無断使用したりしていたとして、結局30種のうち8種類を自ら取り下げることになった。

 事務所のホームページで、

「私の指示に基づいて(略)レイアウトする作業を行ってもらいました。(略)(スタッフから)渡されたデザインが第三者のデザインをトレースしていたものとは想像すらしていませんでした」

 と釈明したが、焼け石に水。以降、東山動植物園(名古屋市千種区)のシンボルマーク、おおたBITO太田市美術館・図書館(群馬県)のロゴ……。これまでの作品に疑惑が相次いで指摘されている。8月13日には、騒動の発端となったリエージュ劇場とロゴのデザイナーのオリビエ・ドビ氏が、エンブレムの使用差し止めを求めて本国の民事裁判所に訴えている。

 まさに泣きっ面にハチ状態の佐野氏。いったいどんな人物なのか。

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