原田監督は、この映画を“広義での家族の物語”と説明したという。

「家長であり、国の祈りの支柱である天皇の存在は、戦争を知らない自分にも響くものがありました。山﨑努さん演じる鈴木貫太郎が軍を労って言う“みな国を思う情熱でした”の台詞は、家族同然の全国民に向けていると思います」

 どんな質問にも、誠実に答える姿勢は好感が持てるが、本人のキャラクターに話が及ぶと、「10代の頃から、常に何らかの役割を演じてしまっているので、どれが本当の自分かわからない」とやや自嘲気味に。困ったときは“とりあえず体裁を整えるほうを選ぶ”クセがついているそうで、「小手先的にはまあまあ器用だけれども、本質的には不器用なんでしょうね」と自己分析した。

「半端に自意識過剰で、自虐癖も消えず、もうすぐ50歳になるというのに、自分探しばかりの青年病も消えない。我ながらやっかいな性格だと思います。でも、役という皮を借りながら、自分をさらけ出していることは間違いないので、それが誰かの憧れになり、戒めになり、罵倒する標的や踏み台になれば(苦笑)。人前に出る仕事をしている以上、自分をさらしているという現実を、皆様に可愛がってもらうしかないですね」

週刊朝日  2015年8月14日号