左から「経口補水塩熱飴」1kg1800円、「OS―1ゼリー」200g190円、「OS―1 PETボトル」500ml190円(いずれもメーカー希望小売価格、税別)(撮影/写真部・岸本絢)
左から「経口補水塩熱飴」1kg1800円、「OS―1ゼリー」200g190円、「OS―1 PETボトル」500ml190円(いずれもメーカー希望小売価格、税別)(撮影/写真部・岸本絢)
東急ハンズ新宿店では対策グッズが売れている。後列右から半時計回りに「ひんやりシャツシャワー」1296円、「おしゃべり熱中症計」3996円、「大人の涼活クールUVアームカバー」2160円(その前も)、「クールコア スーパークーリングタオル」1944円(税込み)(撮影/写真部・岸本絢)
東急ハンズ新宿店では対策グッズが売れている。後列右から半時計回りに「ひんやりシャツシャワー」1296円、「おしゃべり熱中症計」3996円、「大人の涼活クールUVアームカバー」2160円(その前も)、「クールコア スーパークーリングタオル」1944円(税込み)(撮影/写真部・岸本絢)

 熱中症の季節だ。梅雨明けは梅雨が明け太平洋高気圧が張り出して、湿度が一気に上がり、患者が急増する。怖いのは気づかぬうちに脱水症状になっていて、日常生活の中で急に熱中症になること。室内にいるからと安心は禁物。特に高齢者は、かくれ脱水になっていないか注意が必要だ。

「湿度が高くなると汗が蒸発しにくくなる。気温だけでなく湿度が上がることで熱中症のリスクは高まるのです」(気象予報士の木原実さん)

 総務省消防庁によると、熱中症による救急搬送者の半数近く、最も多くを占めるのが、65歳以上の高齢者だ。

「若い世代は炎天下でのスポーツや肉体労働によって熱中症になることが多いが、高齢者は、日常生活の中での発症が大半を占めます」と神奈川県立保健福祉大の谷口英喜教授は指摘する。室内で熱中症にかかるケースも少なくない。

「体内で最も水分が多いのは筋肉。高齢者は筋肉が減る上に、暑さやのどの渇きを感じるセンサーが鈍くなるため、熱中症の原因となる脱水症を引き起こしやすくなるのです」(谷口教授)

 高齢者に多いのが、じわじわと脱水症状が進む「かくれ脱水」(下のチェックリスト参照)。夏バテやちょっとした不調と勘違いしてしまいがちだが、脱水症の一歩手前。その状態で暑くなると一気に脱水が進み、熱中症になる。

 では、かくれ脱水や熱中症を予防するにはどうすればいいのか。

「規則正しい食生活が基本です」と谷口教授。「日本人は塩分摂取量が多く、また、食事から1日1リットルほどの水分を取ることができる。1日3食バランスのとれた食事をしていれば、塩分を余分に取る必要はありません」

 高齢者を含む成人が1日に必要な水分の量は、約2.5リットル(体重50~60キロの場合)。食事から1リットルが取れるので、残りの1~1.5リットルを補給する必要がある。のどが渇く前にこまめに飲むのがポイントだ。

「水はもちろんお茶、コーヒーもOK。カフェインには利尿作用がありますが、飲み慣れている人が普段の量を取る分には問題ない。ただしアルコールはNG。分解時に体内の水分を使い、むしろ脱水してしまうためです」(同)

 体重を量るのも有効だ。1週間で体重が1~2%減ったら、かくれ脱水の可能性があるという。

 気をつけていても熱中症になってしまった場合はどうするか。

「一刻も早く水分と塩分を一緒に補給すること」と谷口教授は言う。即効性がある点滴と同様の効果があるのが「経口補水液」だ。ナトリウムとブドウ糖の濃度を調整し、水分と電解質をスピーディーに補給できる。

「脱水症の症状が出たら、500ミリリットルの経口補水液を1本、速やかに飲む。塩分や糖分が含まれていますが、高血圧や糖尿病の人もペットボトル1本程度なら大丈夫。むしろ脱水症で持病が悪化して合併症を引き起こす可能性もあるので、ちゅうちょせず飲んでください。その後、病院で隠れた病気などがないかを確認することが重要です」(同)

■かくれ脱水チェックリスト
・皮膚がカサつくようになった。皮膚につやがない。
・手の甲をつまんで離すとつまんだ跡が3秒以上残る。
・口の中がねばつくようになった。食べ物がパサつく。
・つばが少なくて、ゴクンと飲めないことがある。
・便秘になった、あるいは以前よりひどくなった。
・靴下を脱いだあとスネにゴム跡が10分以上残る。

谷口英喜著『「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本』(日本医療企画)をもとに作成

週刊朝日 2015年7月31日号より抜粋