2月に実施された大手就職活動サイト「マイナビ」のアンケートによると、現在の大学4年生のインターンシップ(就業体験)参加率は約60%。この数字は年々増加している。もはや、大学3年生にとってインターンシップの参加は必須といえる。

 現状では、大手企業が加盟する経団連の「採用選考に関する指針」が改定され、会社説明会をはじめ企業の広報活動の解禁は「学業に充てる時間の確保」「留学の促進」などを目的として、大学3年の3月1日となった。これまでは前年12月1日。3カ月の後ろ倒しだ。就職活動の短期化を狙った今回のスケジュール変更が、逆に「3年夏のインターンシップから事実上の競争が始まる」と受け止められた。就活のさらなる長期化を招く皮肉な結果を生んでいるようだ。

 それを逆手にとって暗躍するのが、「ブラックインターンシップ」と呼ばれるものだ。これは、「インターンシップ=無給の労働力」とみなし、学生に過酷な労働を強いる。

 これらの多くはインターンシップ仲介業者から紹介されたもので、業務内容は飛び込み営業や「テレアポ」(電話で勧誘や商品販売をする業務)などが多い。大学から学生に注意喚起がされているようだが、「自分の成長のため」「内定が出やすくなる」などの甘い言葉で学生を縛る。なかには、授業に出席することもままならないほどの長時間労働を強いる例もあるという。

 インターンシップが就職活動のなかで重要度を増しているのは間違いないだろう。しかし、「インターンシップに参加できない=希望の企業に就職できない」わけでは決してない。学生たちには、「来たる本番に向けての準備のひとつ」程度に考え、一喜一憂しすぎずに臨んでもらいたい。

週刊朝日  2015年7月17日号より抜粋