今井さんはテレビ番組での復帰を予定していたその日に旅立った (c)朝日新聞社 @@写禁
今井さんはテレビ番組での復帰を予定していたその日に旅立った (c)朝日新聞社 @@写禁

 痩せ細った姿で「末期の大腸がん」を明かした会見から約1カ月後の5月28日、俳優の今井雅之さんが亡くなった。54歳だった。

 がんが発覚したのは昨年11月だったが、今年2月の舞台の製作発表会見では「腸閉塞」で20キロ痩せた、と偽っていた。

 今井さんの本当の病状を聞いていた友人で俳優の梅沢富美男さん(64)が、その伏せられた「闘病」を、本誌に明かした。

「昨年9月頃に今井君が変な痩せ方をしていたので『役作りかい?』と聞くと『いや、調子悪いんですよ』と言うから、調べたほうがいいと勧めていたんです。彼は体を鍛えていたし、健康には自信があった。病院に行く前日も腹筋していたそうです。それが、後に電話があって、検査をしたら手遅れの大腸がんだった、と。先生に余命3日と言われ、『がんと闘います。賭けてみます』と手術に踏み切っていました」

 手術後、抗がん剤治療中も弱気な姿は決して見せなかった。ところが、末期がんを告白した会見後に、梅沢さんとレギュラー出演する「バラいろダンディ」(MXテレビ)の楽屋で1時間ほど話をすると、初めて涙を見せたという。

「痛い、苦しい、で泣くような男ではないんです。ただ、自ら作った主演舞台『THE WINDS OF GOD』は彼の魂でしたから、病で降板するのは身を切られる思いだったのでしょう」

 梅沢さんが「無理してでもやればいいだろう」と言葉をかけると、今井さんはかすれる声でこう吐露した。

次のページ