「いつも梅沢先輩は『一声、二姿、三顔』と言ってるじゃないですか。声が劇場の向こう側まで届かなかったら舞台役者じゃねーよって」
「姿もこんな痩せちゃって(役の)軍服が似合わないっすよ。だから降板します」
梅沢さんは「そうだな」とうなずくしかなかったという。
「抗がん剤治療が本当につらいんです、と今井君は言ってました。それでも秋には映画を撮りたい、と仕事への気力は強かった」
翌週5月7日の同番組で、今井さんは2週間の休養を宣言した。
「番組中は気丈にふるまっていたけれど、終わった瞬間に、もうぐったりしていました。彼は会見や番組などで首元にストールを巻いていましたが、体が痩せてしまって筋だらけになっていたから、それを隠すために巻いていたのです」
陸上自衛隊出身の今井さんは、一分でも自分より先に生まれた人は「先輩」と呼び、敬語を使った。芸能界での数少ない友人の梅沢さんに、最後まで入院先の病院は教えなかったという。
「自分の弱い姿を人には見せない、そういう男なんです」
※週刊朝日 2015年6月12日号