室井佑月「日本はすでに格差社会だ」
連載「しがみつく女」
作家の室井佑月氏は、グローバル化が進むにつれ日本の貧困は拡大し、暗い未来が待っているとこう危惧する。
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夏休みはどこにも行かないと決めた。これから子どもの教育費にいくらかかるかわからない。子どもの教育費は削りたくないので、削るなら行楽費だ。
子どものいない友人も、どこへも行かないみたいだ。その友人は独り者で、年に2回の海外旅行だけを楽しみにしているような女だ。円安で、以前ほど海外へ行っても楽しめないのが理由らしい。
こりゃあ、個人消費も落ち込むわね。あたしたちが日々使う食料は、円安で材料が値上がりし高くなっているし。
物価上昇分を差し引いた実質賃金指数は、23カ月続けて前年割れ。これで再来年の春からまた消費税が上がったら悪夢だな。
さて、ここで疑問が。「グローバル」という言葉が世の中に浸透し、この国もそちらへ進んでいくわけだが、そう考えたとき、円安とは、この国に住んでいるうちらの個人財産の目減りも意味するんじゃないか。
世界で考えれば、なんにもしなくても、円安で財産は減ってるわけ。
金だけじゃない。人間の価値などもそうなのかも。世界と競争するため、人材不足を解消するため、移民を受け入れるという話がある。ぶっちゃけ、競争する企業のため、低賃金で働いてくれそうな人を入れたいわけでしょう。

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