ドイツのアッセ放射性廃棄物貯蔵所 (c)朝日新聞社 @@写禁
ドイツのアッセ放射性廃棄物貯蔵所 (c)朝日新聞社 @@写禁

 原発問題の難しさは、最終的には廃棄物の処分問題に行きつく。これは原発を保有する世界各国共通の課題で、廃炉先進国のドイツも同じだ。

 ドイツでは、過去に埋設した放射性廃棄物の対応に苦労している。ニーダーザクセン州にある旧岩塩鉱山のアッセでは、64年の閉山後に67年から78年まで旧西ドイツの放射性廃棄物が廃棄された。その数は、ドラム缶で12万6千本。当初は長期間にわたって安全な保管場所と考えられていたが、88年に坑内で地下水がしみ出ていることが発覚し、大問題となった。施設を視察した立命館大学の大島堅一教授(環境経済学)は言う。

「現在では一度地中深くに埋設したドラム缶を地上に運び出すため、埋設場所までの坑道を掘り起こす作業をしています。ですが、地層にヒビが入っていて、崩壊の危険もある。地下800メートルの場所に、24時間体制で500人が働いていて、慎重な作業がされています」

 この作業には、少なくとも40億ユーロ(約5380億円)の費用と数十年の期間が必要とされている。自然エネルギー財団の大林ミカ事業局長は、欧州の試算に比べて、日本は廃炉費用の試算が甘いと指摘する。

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