「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」は、「日本に、全長8メートルの警察用ロボットがある」という設定で漫画や小説やアニメでメディアミックス展開された「機動警察パトレイバー」完全オリジナルストーリーの実写版。この映画に先駆けて放映された短編シリーズのときから、筧さんは衣装から髪形まで、「これでどうですか?」「こんなのもできます」と、押井守監督に提案していった。

「こういう規模のアクションムービーって、きっとハリウッドまで行かないと出られないんだろうなと思っていたから、日本で、ここまで手間のかかった映画に出られたのは嬉しかったです。『攻殻機動隊』にしても、『イノセンス』にしても、押井さんの描く映像世界って、かならず未来が予言されている。今だったら普通に起こりうることが、過去の作品の中で生々しく描かれていることに驚かされます。今回も、他人事ではない未来が映ってますね」

 撮影のある日は早朝に起き、自分で完璧に役柄の髪形にセットしてから現場に向かう。ときには、衣装を着て家を出ることもあるそうだ。

「最近思うのは、世の中に役者なんて何千人もいるんだから、自分ぐらいは、全方向型でなくてもいいんじゃないかってこと。俺は俺の狭い方向を突き詰めていって、たとえば刑事だったら一生刑事で、どのドラマでも同じ名前で、同じ衣装で出演するとか。そういうのもありかな、なんて思うようになってきました(笑)」

 役者として、自分の役にとことん手間をかける。だから彼の演じる役は、見ていて飽きることがない。

週刊朝日 2015年5月8-15日号