福井県選出の稲田朋美・自民党政調会長は、規制委の判断に従って再稼働を進めるという党の方針を挙げて「引き続き、これに沿って政策対応を行う」とのコメントを出した。

 政権が強気なのは、17日に、関電が行った仮処分決定への異議申し立ての審理や、それが認められなかった場合の名古屋高裁金沢支部での再審理などで仮処分決定が覆るという期待があるからだろう。元経産官僚の古賀茂明氏は、今後の展開をこう予測する。

「原発推進派は今後、メディアなどを使ってなりふり構わず『原発が動かないから電気料金が値上げされる。原油の輸入で国富が流出する』と強調してくるでしょう。経団連や中小企業団体などに『裁判所がモタモタしているから電気料金が上がって業績が悪化した』と言わせれば、裁判所には相当なプレッシャーになります」

 実際、14年度までで4期連続の赤字決算になると見込まれる関電は、4月に企業向けの電気料金を引き上げ、家庭向け料金の値上げについても経産省が審査中。今回の仮処分決定で計画していた11月の高浜原発3、4号機再稼働の当てが外れ、さらなる値上げの可能性も出てきている。

「関電を破綻処理すれば、そこまでの値上げは必要にならない。原発依存の経営をしてきたツケは、電力会社や金融機関が負うべきです」(古賀氏)

 エネルギー政策の大転換につながりかねない司法と原子力ムラの真剣勝負。次は川内原発の運転停止仮処分をめぐる22日の鹿児島地裁の決定が注目される。

週刊朝日 2015年5月1日号より抜粋