稲田自民党政調会長と安部首相 (c)朝日新聞社 @@写禁
稲田自民党政調会長と安部首相 (c)朝日新聞社 @@写禁

 高浜3、4号機の再稼働を禁じる福井地裁の仮処分が決定し、司法から再稼働の安全性の不備を突かれた安倍晋三首相。今秋にも高浜の再稼働が既定路線だった安倍政権のシナリオは大きく狂った。ジャーナリストの桐島瞬と本誌取材班が今後の攻防はどうなるのか取材した。

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 仮処分で再稼働に水を差された経産省幹部は怒る。

「福井地裁の樋口英明裁判長の決定文は荒っぽすぎる内容だ。万が一の事態にも対応した新規制基準が甘いというのだから、今回の決定は専門家の科学的根拠を否定している。ただ、関電も訴訟対応が甘い。値上げばかりして、いちばん原発を動かしたがっていたはずなのに、このざまだ。2回の審尋を終えた時点で事実上の敗北。電気事業連合会会長を出している会社がこれでは話にならない。役所や裁判所は前例を気にするから、今回の決定を見て見ぬ振りはできない。他の差し止め訴訟へ影響してくる」

 ただ、それでも安倍政権は再稼働推進路線を変える気配がない。

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