「3回転半を3年以上練習してもできなかったので、正直、彼には難しいのではという声もありました。滑りや芸術性は素晴らしく、去年の世界ジュニア選手権は5位でしたが、3回転半ができないとそれ以上にはいけない」(青嶋さん)

 そんな宇野が今シーズン、一気に躍進し、全日本選手権では羽生に次ぐ総合2位につけた。背景には、こんなことがあった。

「苦しくてしょうがない3回転半の練習の息抜きのような形で4回転をプレッシャーもなくやってみたら跳べたというんです。それで『4回転があるなら3回転半は急がなくても大丈夫』と楽な気持ちになったら、今度は3回転半も跳べるように。その両方を一挙に習得するとは、世界でもほぼ例のないことでしょう」(同)

“高橋大輔2世”とされ、表現力には定評があった宇野だけに、すでに「羽生超え」と先走る報道も。

「現時点ではやはり天才肌の羽生のほうが4回転もうまく、回数も跳べるので飛びぬけています。ただ、羽生は今季、手術やけがで体を酷使しすぎている。一方、宇野が芸術点を稼ぎ、4回転の精度が上がると勝負はわからない」(スポーツ記者)

 天才か努力家か。氷上のプリンスたちから目が離せない。

週刊朝日 2015年3月27日号