「北海道のみのもんた」の異名をもつフリーキャスターの佐藤のりゆき氏 (c)朝日新聞社 @@写禁
「北海道のみのもんた」の異名をもつフリーキャスターの佐藤のりゆき氏 (c)朝日新聞社 @@写禁

 昨年11月に北海道知事選(4月12日投開票)へ「北海道のみのもんた」の異名をもつフリーキャスターの佐藤のりゆき氏(65)が出馬を表明した。現職の高橋はるみ氏(61)は自民党道連がすでに推薦を決定。主婦を中心に北海道ではファンの多い佐藤氏に、民主党、共産党が支援を決定。高橋氏自身が「今までで最も厳しい戦い」と公言している。

 さらに陣営を不安にさせているのが、過去3回の知事選で全面支援してくれたJA北海道の「離反」だ。安倍政権は今月9日、全国農業協同組合中央会(全中)の地域農協への監査権の廃止を柱とした農協改革案をまとめ、全中を押し切った。

 JA北海道中央会の会長で、全中の副会長も務める飛田稔章氏は同日、「今回の改革が、農業所得の増大にどのように結びつくのか、明確な説明はない」との批判的な声明を出した。JA北海道は全国のJA組合数の約16%を占める大所帯。組合員数は約35万人に上る。

 高橋陣営の関係者は不安げに語る。

「国政選挙があれば、農協組合員はそこで安倍政権におきゅうを据える。しかし来夏の参院選までないため、今回の知事選で自民候補に入れず、相手に一票を投じる人も出てくるのではないか。大詰めを迎えているTPP交渉や地方が恩恵を受けていないアベノミクスへの不満も根強い。応援するはずの農家が反乱すれば、致命傷になりかねない」

 2007年の道知事選に立候補した、元農水官僚で民主党の荒井聰衆院議員も「北海道の広さは東北6県に長野県を足したような巨大な選挙区。自分の考えを訴えていくのはなかなか難しい。直前に農協改革もあったので、農業問題がおのずと争点になっていくでしょう」と見る。

 今年1月の佐賀県知事選では自民、公明両党が推薦した前武雄市長が、元総務官僚の新顔に敗れる波乱があった。政権が進める農協改革に対し、地元農協が反旗を翻す形で新顔を応援したことが、波乱要因の一つになった。その再現が北海道知事選で起こらないとも限らない。

週刊朝日 2015年3月6日号より抜粋