スマホ時代に適応できるか
スマホ時代に適応できるか

 国内のメジャーECサイトとなった楽天。ホリエモンこと堀江貴文氏は、新たなビジネスモデルが登場しているスマホ時代に適応できるか微妙だという。

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 楽天の営業益が1千億円台になり、2014年12月期は通販と金融が絶好調だったらしい。

 日本では圧倒的なオンラインECでの存在感を示す楽天の決算は絶好調のようだ。マーチャント(小売店)を抱える小売業関連の売り上げはもとより、金融などの周辺サービスも調子がいいらしい。

 ECでなくとも、例えばイオンは本業の小売業は赤字だが、ショッピングセンターのテナント向けの不動産業や金融業の黒字でカバーしている。多くの顧客を抱える小売業は金融と相性がいいのだろう。

 カードや銀行業でも楽天銀行口座や楽天クレジットカードの勧誘など激しい営業攻勢が功を奏している。一部には大不評の、楽天で買い物をすると、あらかじめチェックボックスにチェックをされて、楽天自体や各テナントのメールが送られてくる仕組みには閉口したことがある。面倒くさいのでブラウザのアドオンで自動でチェックを外すアプリを導入したり、まとめて消していた時期もある。あるいは自分でフィルタ設定したりもした。

 最近はGmailが自動的に「プロモーション」フォルダに移動してくれるようになって便利になったが、そういう仕組みをユーザに強いるのはどうかと思う。特にパソコンやスマホの操作がわからない情報弱者の人たちは困っていると思う。

 しかし、これこそが彼らの企業姿勢を表しているとも言えるだろう。彼らの顧客は金融事業こそ消費者だが、小売事業の顧客はマーチャントである。彼らの売り上げを最大化することこそが楽天のミッションであり、多少消費者にとって面倒くさい、あるいは迷惑な仕組みとわかっていても、彼らにとって売り上げアップにつながる仕組みを導入してしまうという体質があるのは間違いない。

 これは楽天に限った話ではない。Amazonでも書籍の著者に悪名高い書籍レビュー機能は一向に改善される気配がない。レビューはアカウントがあれば購入履歴がなくとも書けるようになっているため、ユーザが著者のアンチだとするとネガティブレビューを書くことが可能で、荒らされていることもある。これはAmazonの顧客がエンドユーザだからだろう。

 楽天の場合、そのダイレクト顧客である小売店に対して手数料を徴収する。小売店の利益の一部が楽天のものになるのだ。もちろん売り上げがアップすれば利益の絶対額が増えるのは間違いないが、ただでさえ低い小売店の利益率が更に低くなる。

 それでもPCメインのインターネット時代は楽天の圧倒的なアクセスに依存せざるを得なかった。だがスマホ時代になり、フリマアプリや手数料ゼロ円のECモール、そして手数料ゼロ%の決済事業者などが別のビジネスモデルを引っさげて挑んできた。

 楽天がPC時代に築いた圧倒的なリーチをスマホ時代も維持できるかはかなり微妙な情勢である。イノベーションのジレンマに陥らないようにしたほうがいいだろう。

週刊朝日  2015年2月27日号