せんねん灸は3分程度で終わる(撮影/写真部・東川哲也)
せんねん灸は3分程度で終わる(撮影/写真部・東川哲也)

 センター試験直前。ここでいちばん大事なのは、ベストコンディションを保つことだ。試験当日体調が悪かったらこれまでの努力が元も子もなくなってしまう。そこで体調管理のため、“東洋の知恵”を活用してみてはどうだろう。「眠くなる」副作用もなく、力強い味方になりそうだ。

“東洋の知恵”の中でもなじみ深いのが“つぼ”だろう。全身に361個もあるというが、受験生におすすめのつぼはどこか、「鍼灸(しんきゅう)室らくみ」代表の福里真希さんが教えてくれた。

「腕を曲げると肘にしわができますが、その辺りにあるのが『曲池(きょくち)』というつぼ。指で押して“痛(いた)気持ちいい”ところです。ツーンと響くように感じる人もいます。ここは肩のこりや目の疲れを取り、胃を丈夫にして免疫力を上げる万能つぼなんです。押すだけでも効果がありますが、さらにいいのは、お灸を据えることです」

 見つけやすく、自分でお灸を据えやすい位置にあるので、初心者でも試しやすい。本格的にもぐさを用意するのは大変だけれど、肌にシールで貼り付けられる手軽な「せんねん灸」なら、ドラッグストアなどで数百円程度から手に入る。

 お灸が初めてなら、「やけどしない?」「熱くない?」と心配になる人もいるかもしれないが、

「熱かったら、我慢する必要はありません。すぐ取っても十分効果はあります」(福里さん)

 逆に、熱さどころか、温かいとも感じなかったら、何度か続けて同じつぼにお灸を据えてもいい。ポイントは、「気持ちよい熱さかどうか」。これなら勉強しながらでもできるだろう。

 また、風邪をひいたかな、というときには、首の後ろにドライヤーで熱風を当てる「ドライヤー灸」もおすすめだ。

「頭を前に少し傾けると、首の付け根に飛び出る骨がありますよね。そのすぐ下に『大椎(だいつい)』というつぼがあります。ここを温めると風邪に効果があるんです。洋服の上からドライヤーを30秒から1分ほど当てるだけでいいんですよ」(同)

 さらに、大椎から指4本ほど下の背骨の両脇には「風門」というつぼがある。東洋医学ではこの「風門」から風邪が体に入ってくると考えられている。ここに使い捨てカイロを貼って温めるのも効果的だとか。

「東洋医学では、『気(き)・血(けつ)・水(すい)』が身体をめぐることで、生命活動が維持できていると考えています。そのいずれかが滞ると、病気になるのです。試験前の緊張からくるストレスは、気の滞りそのもの。放置して体調不良になる前に、気・血・水の出入り口であるつぼを刺激し、流れが滞らないようにしてみてください」(同)

週刊朝日 2015年1月23日号より抜粋