本誌連載の「おすすめアプリ生活」。今回、ライターの小幡恵が推薦するのは、国民的大イベント「NHK紅白歌合戦」の公式アプリだ。

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 昭和30~40年代、視聴率80%前後を誇った「NHK紅白歌合戦」は、まさに国民的大イベントだった。ちょうどその当時、私の父はNHKの職員で紅白を担当していたのだが、毎年暮れが近くなると家にもマスコミの取材電話や訪問が増え、それがわが家の「暮れの風物詩」だった。

「紅白の当落」は新聞・雑誌にとっては国政選挙並み(?)の関心事。歌手も「紅白に一度出れば一生食える」と言われていたから、歌手はもちろん、事務所もレコード会社も今以上に必死だったのだ。

 けれど、いまや娯楽は多様化し音楽のジャンルも細分化、「誰でも知っている流行歌」も少なくなり、「紅白」の方向性も迷走模様。とはいえ、2013年の平均視聴率は、番組後半(2部)が44.5%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。全盛期とは比べようもないが、大変な数字である。結局、大晦日の仕事や掃除が終われば「ま、ちょっと紅白でも見るか」になる人は、相変わらず多いということだ。

 レギュラーの「歌番組」が減った昨今、普段見る機会がない歌手、グループをまとめて確認できる貴重な機会とも言える。子どもや孫との会話に全然ついていけないあなた、「セカオワ」も「May J.」も「HKT48」もこの際まとめてチェックを。

 実は公式アプリが用意されていて、これがけっこう使える。「紅白LIVE」は今歌っている歌手、楽曲の情報、曲順がリアルタイムでわかるほか、Twitter上の盛り上がりも表示。さらに「見逃したくない歌手」を登録しておけば、出演数分前に通知してくれるので「メインは『ガキ使』、ときどき紅白」という人にも親切設計。過去64回の出演者、楽曲データベースもオールドファンには懐かしい。

 やっぱり年末は「こたつにみかんに、おせちのつまみ食い、スマホ片手にときどき紅白」ってのが平和。

週刊朝日 2015年1月2―9日号