東海地区の大手銀行員のRさん(23)、1年前は都内の大学に通っていた。筋金入りのアイドルヲタクで、深夜のカラオケ店のバイトで稼いだお金のほとんどを“アイドル費用”につぎ込んでいた。AKB48の握手券目当てに毎シングル100枚近いCDを買い、「バイト代がたった数秒で消えて空しくないの?」
といった母の小言もまったく聞かず、部屋はCDだらけ。
この大量のCD、握手会が終わると用はない。友達や後輩に“推し”つけるもののいい顔はされず、捨てることもできなかった。
そこでベランダの鳩よけをせっせと作った。タイトル面同士を両面テープで貼り合わせて真ん中の穴に糸を通すと、鳩よけのできあがり。それを何枚も重ねてベランダにつるすと、日光を反射してキラキラ光るので鳩が寄ってこない。
ただし、いちども聴かずに鳩よけにするのは気が引け、フルに聴いてから、と自分に課した。100枚だと、さすがにヘトヘトになった。
月日が経ち、お金に余裕ができ、さらにアイドル熱は加速している。鳩よけの材料はAKBからHKT48に移行している。
※ 週刊朝日 2014年11月21日号