山下リオ「私だって、黒い部分がないわけじゃない」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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山下リオ「私だって、黒い部分がないわけじゃない」

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 初めての体験だった。山下リオさんは中学2年生でこの世界に入ったときから、「いつかミュージカルを!」と夢見ていた。その夢がかなうかもしれないオーディションで、体はガチガチに固まり、声は震えた。「何とか緊張を解かなければ」と、とっさに履いていたヒールの靴を脱ぎ捨て、裸足になった。そのかいあって、課題曲2曲を、何とか歌い切ることができた。

「オーディションのことは、緊張しすぎてよく覚えていないんです。『きっと落ちただろう』と思い込んでいたら、あるときマネジャーから、『受かったよ』って報告されて。私でいいと言ってもらえたんだから、自分の持っているすべてを、『ファントム』に捧げようと思いました」

『オペラ座の怪人』を原作とするミュージカル「ファントム」は、怪人ファントムの人間像に焦点を当て、父親との関係性を軸に、「亡霊ファントム」から、「人間“エリック”」を取り戻す再生のストーリー。山下さんは、ヒロインのクリスティーヌ役を勝ち取った。昨年は朝の連続テレビ小説「あまちゃん」にGMTのメンバーとして出演、今年4月からは笑福亭鶴瓶さんがMCを務める「A‐Studio」の6代目アシスタントとしても活躍している。取材の前日には久しぶりに美容院で髪をカットしたそうだが、それまでは、自分で切ることもあったとか。

「あんまり自分の見た目に関心がないし、女子力は低いほうだと思います(苦笑)。あ、でも、2年前に髪をロングからショートにしたことは、ターニングポイントになりました。それまでは、お芝居が思うようにできなかったり、うまくいかないことが続いたりすると、すぐ『私なんか』ってなってしまっていたんですけど、髪を切ってから、お話を頂く役の幅も広がって、いろんなことに挑戦できるようになったんです」

 芝居の世界に足を踏み入れてからは、それがたとえ非現実的なキャラクターであっても、「役を生きられている」という実感を得られることがあって、それが面白いのだという。

「自分じゃない自分になれることが、お芝居としていいかどうかはわかりません。でも、大勢のスタッフの方や、相手役の方に囲まれて、ふと、“自分の居場所はここにあるんじゃないかな”って思える瞬間があって」

 徳島県にある漁師町で生まれ育った。豊かな自然の中で成長した女の子特有のピュアさが魅力のように見えるが、本人曰く「私だって、心の中に、黒い部分がないわけじゃないと思いますよ。人間って、そういう影の部分があるから面白いんじゃないかなって思うし」と言って、いたずらっぽく微笑んだ。

 ときどき、徳島の自然を懐かしく思うときがある。そんなときは、飼い犬を連れて、海まで車を走らせる。小さい頃も、何かあるとすぐ一人で海を見に行った。その頃のクセが、今も抜けない。

週刊朝日  2014年8月29日号


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