AKB48の握手会襲撃の余波が収まらない中、またアイドルが狙われる“事件”が発生した。

 アイドルユニット「仮面女子」で活動する伊藤みうさん(17)が、プレゼントの中に衛星利用測位システム(GPS)を仕掛けられるという被害に遭った。

 7月19日、東京・秋葉原の常設劇場でのライブ終了後、受付に集められたプレゼントをスタッフが検査していると、ぬいぐるみの中からたばこ箱大の「ブツ」が発見されたという。

 所属事務所「アリスプロジェクト」の担当者が語る。

「伊藤にストーカーをしようとした人間の仕業だと思います。警察に相談の電話をしましたが、GPSを置いていかれただけでは、捜査はできないと言われてしまいました」

「仮面女子」は2013年3月に結成され、同年12月にはシングルCD「妄想日記」が売り上げ5万枚を突破。現在、メディアへの露出が増えており、アイドル好きから注目を集める存在となっている。熱狂的なファンが暴走した可能性も否定できない。

 アイドル誌の編集者はこう指摘する。

「『アリスプロジェクト』のアイドルは観客に向かってダイブをしたり、紅白に出場できたらファンを自宅に招くことを約束したりしています。過去にはファンとの交際が発覚して、一度に3人が解雇されたこともありました。ファンとの距離が近いのはいいことですが、あまりサービスしすぎると、また変な輩が現れてしまう可能性がある」

 今回の件を受けて、「アリスプロジェクト」はプレゼントの規定を厳しく制限することを発表。ホームページには、<ぬいぐるみ、開封済みの物、飲食物、大きな物……>と渡してはいけない物品のリストがずらりと並ぶ。

 だが、探偵社「ガルエージェンシー赤坂」の池田直隆代表は「対策にも限界がある」と話す。

「GPSは、一部のいいかげんな業者にお金さえ払えば、簡単に入手ができてしまう。最近はマッチ箱くらいの小型タイプも多く、たとえばポーチなどに細工をすれば仕込ませることができる。ファンがアイドルにプレゼントをあげる構造がある限り、リスクはゼロにはならない」

 伊藤さんは本誌の取材に、「今回の件に負けず、国民的アイドルを目指して頑張りたい」と語った。

 アイドルブームでファンとの距離が近くなっている昨今、タレントを守るためにはよりいっそうの危機管理が求められる。

(本誌・福田雄一)

週刊朝日  2014年8月8日号