今期、最初に笑ったのはフジテレビだった。

「関係者の間では視聴率20%取れれば万歳だと言われていた中、26.5%(関東地区)取ったので、不振続きの中に救世主が現れた、と局内は浮かれていますよ」(フジ関係者)

 13年ぶりに復活した木村拓哉主演の「HERO」が、今期ドラマトップの初回視聴率で好調な滑り出しとなったのだ(7月17日現在)。

「『HERO』は、本当は4月クールでの放送を目指して動いていましたが、キャスティングの調整がとにかく難航したようです。今回、レギュラーにならなかった元キャストも、どこかで出る仕掛けを狙っています」(ドラマ関係者)

 コンビを組む検察事務官役が、前作の松たか子から北川景子に代わるなど、放送前は主要キャスト交代に不安の声もあったが、さすが月9。さりげなく松が演じていた雨宮の存在をにおわせるセリフが出たり、亡くなった児玉清さん(前作では次席検事役)が、役柄上も亡くなったという設定で写真で登場するなど、前作のファン心理もきちんとおさえている。

 テレビコラムの連載を持つライターの吉田潮氏も、予想以上の視聴率だったと言いつつ、まずまずの評価。

 
「新たな試みのようなものはそんなになかったけれど、さすが手練れの役者で固めてきましたね。キムタクと北川景子を見たい人だけでなく、いぶし銀の役者たちのやりとりを楽しみにしている人にとっても、満足いく内容かもしれません」

 木村と同い年で、“おネエ”映画ライターのよしひろまさみち氏も、こう話す。

「見た目も演技も、変わらないのが怖いくらい。キムタクはずっとキムタクだという決意宣言を見ている気がしたわ。本当に尊敬です。フジは起死回生に今後はHERO頼りで、またシリーズ化して年末特番なんかもやりかねないわね」

 もっとも、そうした話は既に出ているようで、

「実は、劇場版も水面下で進めています。そこでは松さんの出演もあるようですよ」(前出のドラマ関係者)

 すっかり“一人勝ち”状態で高笑いが聞こえてきそうだが、吉田氏はこう釘を刺す。

「最近ヒットした『BORDER』『半沢直樹』『家政婦のミタ』は、途中から数字が右肩上がりになりました。その法則からいくと、初回が高すぎて逆行しているんじゃないかとも思う。勝負はこれからどうキープするか、ですね」

週刊朝日  2014年8月1日号より抜粋