サッカーのブラジルワールドカップ(W杯)がいよいよ6月に開幕する。日本代表は初の8強入りとなるのか。スポーツは消費を刺激する。電通総研は、前回2010年の南アフリカW杯の経済効果は3千億円にも上ると試算していたほどだ。

 消費だけではない。1980年代後半から景気とスポーツの関係性を研究している三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉理事は、

「サッカーや野球など国際的な試合で日本が勝つと、日経平均株価も上がる可能性が高い」

 と分析する。その理由について宅森氏は、

「日の丸を背負って戦う選手を見た人たちは、『自分も頑張らなければ』と仕事へのやる気がアップし、物事の見方も前向きになるようです。それが端的に株価にも表れるのでしょう」

 と説明する。顕著だったのは97年、サッカーW杯の初出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」だ。深夜のテレビ中継にもかかわらず50%近い視聴率を記録し、日本中が熱狂した。

 しかし、翌朝に飛び込んできたのは、北海道拓殖銀行の破たんのニュース。株式市場が混乱してもおかしくないほどのインパクトだが、そこはW杯の魔法だ。なんとその日の日経平均は、1200円も上昇した。

 また、記憶に新しいのは12年のロンドン五輪の男子サッカー。初戦で下馬評をくつがえし強豪スペインを倒し、その翌日は123円の大幅高となったのだ。試合中継に合わせて日経平均が上下したこともある。

 09年3月24日のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の決勝戦。日本時間の日中に行われたため、試合運びに連動して日経平均が動いた。延長戦が決まるとその日の最安値8297円27銭をつけ、その後、イチロー選手がタイムリーヒットを飛ばすなど日本チームが優勢になると株価は徐々に上昇。優勝が決まり金メダルが授与されると、その日の最高値となる8504円41銭をつけた。

週刊朝日 2014年5月23日号より抜粋