紙媒体・雑誌のインタラクティブ性を考えた堀江貴文氏。自身が編集長を務める新雑誌構想をこう語る。

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 インターネット上のソーシャルメディアの優位性といえば、何といってもインタラクティブ(双方向)性だろう。

 一方的にただ送られてくるデジタルコンテンツに比べれば、無限のバリエーションを持つ、人と人とのやりとりは無数の組み合わせを生む。それが予測不可能な面白さを生んで、今や一方的に流されるコンテンツを駆逐しつつある。

 実際に、いまではツイッターやフェイスブック、ラインなどでのコミュニケーションに、数多くの人が少なくない時間を割いているのが現状だ。雑誌や既存マスメディアの低落傾向に拍車をかけている理由の一つと言えるだろう。

 もちろん雑誌も投稿ページがあったりするので、時間はかかるが「インタラクティブ性は皆無である」とはいえない。読者投稿コーナーは、それなりの人気を誇っているので、大抵の雑誌には設けられている。

 しかし、リアルタイムで繰り広げられるソーシャルメディアの魅力と比較すると、圧倒的にかなわない。だがかなわなくても、その良さを取り込むことは考えられるのではないか。

 ここでありがちなのは、オフィシャルページのブログやフェイスブックページなどを通じたコミュニケーションとなるのだが、それだけでは当たり前すぎる。ホリエモンドットコムと連動する紙媒体の雑誌を新たに作る必要もなく、私の持っているソーシャルグラフ (同好関係)を活用することでその程度のことは可能になる。

 今回、私が紙媒体を作るにあたって、メリットとして感じているのは、やはり書店を通じた流通と、ソーシャルメディアに親しんでいない層の取り込みということになるであろう。

 つまり、書店などのライブ空間を通じた、リアルなコミュニケーション、例えば(部分削除)、SENSEという雑誌が実施したフェス的なイベントをもっと小規模に行ってみるというのは面白いだろう。

 対談コンテンツに登場してくれた人たちを招いて、雑誌購入者だけが申し込める対談イベントをどこかの書店さんのスペースで行うというのもかなりプレミアム感のある特典だ。

 さらに付録などをつけた場合、それを会場で体験して即売会をやるというのもありだろう。私としては、まだスマホやタブレット端末を使っていない、あるいは使いこなしていない層の人たちに、もっと積極的にIT端末を活用してもらうための入り口となればいいと思っている。

 こうした試みは、ともすれば、紙の雑誌のマーケットを駆逐してしまうんじゃないかと思われがちだが、棲み分けはある程度可能だと思っている。少なくとも、あまり売れていない雑誌などは完全にウェブマガジン化してしまったほうがいい。そのほうがインタラクティブなイベントなども小規模に開催して採算がとりあえずは取れるレベルに持っていけると思うからだ。

 そういった雑誌の将来なども含めて議論をしつつ、モデルケースになりうる媒体に仕上げていきたいなと考えているのである。

週刊朝日  2014年4月18日号