室井佑月 安倍首相に「あのぉ、三権分立って知ってます?」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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室井佑月 安倍首相に「あのぉ、三権分立って知ってます?」

連載「しがみつく女」

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 作家の室井佑月氏は、安倍首相独自の決断によって日本がどんどん変わってしまうのではないかとこう危機感を募らせる。

*  *  *
 今の世の中が本気で怖い。最愛の息子は今後、人生を享受することができるんだろうか。毎日、そんなことばかり考えている。

 子の親なら、みんなそんなもんなのかしら。いいや、違うね。都知事選の投票率の低さを考えれば、あたしの心配をガハハと嗤(わら)い「バッカみたい」という人が多数なんだろう。

 2月14日付の東京新聞に「三権分立 崩す」という見出しの記事があった。

「安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を、歴代内閣による議論の積み重ねを覆して自ら進める考えを国会答弁で示したのに対し、十三日の自民党総務会で『三権分立を根底から崩す』などと批判が相次いだ」というものだ。

 12日の衆議院予算委員会で、集団的自衛権の行使容認について、民主党の議員が法制局に質問をした。すると、安倍さんは何度も手を挙げ、自分が答えるとアピール。そして、こういい放った。

「先程来、法制局長官の答弁を(質問者が)求めているが、最高の責任者は私だ。私は責任者であって、政府の答弁にも私が責任を持って、その上において、私たちは選挙で国民から審判を受けるんですよ」

 あのぉ、三権分立って知ってます? 小学6年生のときに社会科で習う。立法、行政、司法――つまり国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合って、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する、憲法でそう定まっている。中学受験では基礎中の基礎、低レベルの問題だ。

 安倍さんは、小学生でも知っているそのことを知らなかった? いや〜、いくらなんでもまさかね。

 とすれば、いつの間にかこの国のルールが変わっている? あたしはこういうところが怖い。

 安倍さんいわく、最高の責任者であるご自分がこの国のすべてを決めていいのなら、彼個人の感情で「じゃ戦争でもしてみっか」と即決も出来よう。

 この国は、世界中から危ねぇ、と煙たがられている金さん率いる北朝鮮みたいな独裁国家を目指しているのか。

 話が極端すぎる? でも、確実にじわじわとそうなりつつあるように思える。

 独裁国家が報道を抑えるのは常套手段。この国の「世界報道の自由度ランキング」、見てみなよ。2010年には11位だったのに、今年は59位だ。

 この国の報道に「顕著な問題」があるとはっきりいわれている。特定秘密保護法の成立や、福島第一原発に関する情報の不透明性が、問題として挙げられた。最近話題になったNHK問題だって、しかりだよ。

 ま、さすがに今回の安倍さんの発言は、自民党内からも批判が出た。しかし、オリンピック報道の陰に隠れて、そんなに大騒ぎにはなっていない。

 どうして? これが騒ぎにならないってことは、すでにこの国の報道は、政府の制圧下にあると考えるべきなんでしょうか?

週刊朝日  2014年3月7日号


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室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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