驚異の粘り腰から急転直下、猪瀬直樹氏が東京都知事の職を辞し、自民党をはじめ各党は急ピッチで選挙態勢を整えつつある。投開票日は2月9日が有力視されており、短期決戦のため、知名度優先の候補者選びとなりそうだ。

 与党候補の対抗馬になりそうなのが、東国原英夫前衆院議員だ。石原慎太郎氏(81)らと争った11年の都知事選で、169万票を獲得した実績もある。猪瀬氏が辞職不可避とみるや、都知事選への準備のためとしか思えない議員辞職という行動に出た。

「われわれの仮想敵です。宮崎県知事を辞めた後、あっちこっちにフラフラしており、賞味期限は切れてはいますが、出れば100万票は堅い」(自民党関係者)

 本人は12月19日、記者団に「現時点での出馬の計画はない」と述べた。だが橋下徹大阪市長(44)との間に密約めいたものの存在をほのめかすなど、きな臭い。

「橋下市長が都知事選に出馬し、空いた大阪市長の椅子に東国原氏が座る、との合意がすでにあるというウワサが流れています。落ち目の2人が一度、立場をリセットしようというものです。そんなに簡単にいくとは思えませんが」(同前)

 また、野党第1党のメンツにかけて、民主党も擁立したいところだが……。

「全くタマがいません。参院選で共倒れした記憶があり、誰も手を挙げようとしていません。都知事選になると毎回名前が出るのが蓮舫前幹事長代行ですが、逆立ちしても勝ち目がないため、自分から売り込むことはしていません」(民主党関係者)

 そして何と、菅直人元首相(67)の名前も挙がっているというのだ。参院選時の身勝手な行動から党最高顧問も外され、今は脱原発を掲げて講演に歩く日々だ。民主党が政権に戻る可能性は極めて低く、ならば都知事としてもう一花と考えてもおかしくはない。

 ある政府高官は「どのみち最近の都知事選は、後出しじゃんけんで出てきた人が勝っている。ぎりぎりまで候補者選びは難航するだろう」との見通しを示す。

 東京五輪の顔となる都知事。今度こそ「政治のアマチュア」では困るのだ。

週刊朝日 2014年1月3・10日号