かつて小説やドラマの定番テーマだった「嫁姑問題」が、最近の日本では、少し変わってきているという。本誌が20代以上の既婚女性1000人へ実施したアンケートでは、姑側から「いつか一緒に住めたらと夫と話している。ただ、迷惑になってもいけないので伝えていません」という声や、実際に「嫁いびり」で悩まされたという経験者から「私のような思いは絶対にさせられない」という意見もあり、「夫の母」の弱体化が見受けられる。

 そんな義母の“配慮”を、息子の妻は利用しているのか。『姑の言い分 嫁の言い分』の著者でノンフィクション作家の今井美沙子さんは語る。

「若い夫婦が両家の親に経済面や育児で依存する例は非常に増えています」

 今回のアンケート結果からも、その傾向が見受けられた。年齢が若い層ほど目立ち、「『夫の母』への期待や望み」の設問に、20代の半数以上が「経済的に支援して」「子どもの世話や育児を手伝って」と答えた。

「実家、夫の実家を問わず、助けてくれる家に頻繁に出入りするという話をよく聞きます。姑は孫の世話がうれしい半面、あまりに頻繁に預けられたり、日常的な育児の戦力として組み込まれると負担が大きく、疲弊するケースも多い」(今井さん)

 アンケートの自由記述にも、あまり語られない“義母側の不満”がみられた。

お金を欲しがるので断った。姑は実母でない」(60代、別居)、「もう少し独立心をもってしっかりしてほしい」(50代、同居)などだ。

 Cさん(62)も仕事を持っているにもかかわらず、朝の登園前や夕飯の支度など、息子の妻が家事に忙しい時間帯は毎日、孫の遊び相手を務めている。息子夫婦が遊びに行く休日も預かったり外へ連れ出したり。ベビーシッターのようだ。

 そんな息子の妻たちは、「甘えすぎ」なのだろうか。今井さんは反論する。

「妻が子育てに専念しても経済的に不安がない時代は終わり、今は夫婦で必死に働かなければ生きられません。フルタイムで共働きなら、だれかに頼らなければ子育ては無理です。時間的にも経済面でも余裕がある親に依存するのは仕方がなく、責められません」

週刊朝日 2013年11月22日号